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リストカットの経験談とファッションリスカの位置付け

リストカットの経験談とファッションリスカの位置付け

SNSが普及した今日、身近に精神疾患を持った人がいなくてもリストカットという言葉を聞いたことはないだろうか。リストカットは自傷行為の一種である。本稿ではリストカットの自己経験談とSNSでよく見かける「ファッションリスカ」について調べた。これは論文でもなくレポートでもないから個人的な感想が含まれるので注意してもらいたい。

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はじめに

リストカットとは自分の手首を剃刀やカッターナイフなどで自ら傷つけることである。リストカットの語源は手首(wrist)と切る(cut)を合わせて作られた和製英語である。1

リストカットの概要

リストカットは前述の通り、手首を刃物なので自ら傷つけることである。リストカットをしたことがある割合は男性3.9%, 女性9.5%(n=1529)であった。2男女比は女子の方が多い。リストカットを病名として扱うことはできない。前まではリストカットは境界性パーソナリティ障害の特徴と言われていたが摂食障害や発達障害などの他の精神疾患でも見かけるため断言はできない。リストカットと自殺の関連は、「自殺行動の対人関係論」(Thomas Joiner et al, 2009)が参考になる。3一つめに痛みの慣れなどの「身につけられた自殺潜在能力」、二つ目に孤立感といった「所属感の減弱」、三つ目に自分の存在が周りに負担がかかっているという認識の「負担感の知覚」。この三つの要因が一定の水準を超えると自殺する可能性が高まってくるのだ。

リストカットには流れが存在する。ここでは当事者として私のケースを紹介する。まずは原因。例えば人から悪口を言われたなど。人によって原因は異なってくるだろう。

表1(Rodham et al,2004)

目的には感情の処理や自己罰などが挙げられる。私は感情の処理を目的に行なっていた。中には他人から注意を引かせるために行う人もいる。

次にリストカットをしたいという欲が現れてくる。欲はないケースもある。例えばリストカットをしなければならないという強迫観念から生じるもの。欲というよりは義務感として果たしている。

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そこからリストカットを実行する。自己経験であるがリストカットをしたいと思っていてもやっぱりやめようかなと葛藤する時があった。私はその行為をカッターとの睨み合いと日記に綴っていた。

次に大きく分けて2つのケースが見られるだろう。まず一つ目は一時的な解消(目的の達成性)と至るケース。個人的にいい深さで切れたから良いと思う人もいればリストカットを行い気持ちが切り替えられると思う人もいる。二つ目に要するに目的を達することができないケース。例に挙げるとリストカットをやってみたが傷が浅すぎて満足できないというパターン。私の場合、感情の処理を目的にやっていたが習慣化して傷が浅すぎると気持ちを処理することができなかった。元々は傷の深さ関係なくリストカットをすることによって感情の処理が行なっていたがいつの間にか慣れによって感情の処理に傷の深さという新たな条件が追加されたのだ。そういった場合、もう一度目的を達成するために切るか妥協して終わらすかのどちらかになるだろう。

ファッションリスカとは何か

Twitterを見ているとファッションメンヘラ(ファッヘラ)をいった言葉をよく見かけるようになった。その中でもファッションリスカというワードが現れた。ファッションリスカについてX(旧Twitter)上で検索してみると大きく分けて二つの使用ケースが見られた。

リストカットによる傷の深さ

浅い傷をファッションリスカと呼ぶ人がいることがわかった。要するに引っ掻き傷のようなものを指す。

目的

人に構ってほしいといった自己に興味を向けさせる目的であるリストカットを指すケースだ。着衣と同じようなファッションの意味合いであるケースもある。例としてリストカットの傷跡を露出させている人などがある。

どちらも一般的なリストカットと変わりがないことがわかった。リストカットを傷の深さや目的で判別したものだと思われる。また、ファッションリスカと言われ傷つくものがいることがわかった。

最後に

ファッションリスカと呼ばれるものは一般的なリストカットと同様である。リストカットをより深くカテゴリー化したものであると思える。一つ注意が必要なのが傷の深さで辛さを決める行為はやってはいけない。傷が浅くてもそこには辛い思いがあることを忘れてはいけない。私は一時期縫うほどのリストカットをするほどのいわゆる典型的なリストカッターであったが最初の頃は怖くて爪で手首を強く切っていた。のちにハサミからカッターナイフに変わり今とあるがこのように回数を重ねるほどリストカットが習慣化し、傷の深さも増してくる。加えて前述の通り、自殺という選択肢を選ぶかもしれない。個人的にリストカットを他人に改善させるようなことは簡単ではないと思う。もちろん行為の禁止は行わない。腕に輪ゴムをつけて引っ張って離して痛みを与えることを代替として行わせる(置き換えスキル)というやり方もある。私には全く効かなかったがもしかしたら効く人がいるかもしれない。精神科の受診を勧めるなどの方法もあるだろう。もし身近にリストカットを行っているものがいれば一般人として何か支援してあげたい。

文献

  1. リストカット症候群:用語解説|こころの耳:働く人のメンタルヘルス・ポータルサイト. https://kokoro.mhlw.go.jp/glossaries/word-1704/ .(2024年1月20日閲覧) ↩︎
  2. 阿江竜介, 中村好一, 坪井聡, 古城隆雄, 吉田穂波, 北村邦夫. (2012). わが国における自傷行為の実態: 日本公衛誌, 59, 665–672. ↩︎
  3. 松本俊彦. 『自傷・自殺する子どもたち』. 合同出版, 2014, 64p. ↩︎
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